《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方
7号

このメールマガジンはPC版「楽しい《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方」を携帯でも読めるようにしたものです。長文ですので画面メモをして読むこ とをお勧めします。
こんにちは、予備校講師の田原です。
 
「物理Web講座」へ登録していただいた皆さん、ありがとうございました。僕の予想を超える数の申し込みをいただいて、うれしい悲鳴をあげています。

でも、受講者の皆さんの熱いコメントを読んで、皆さんの顔が見えてくると、僕の講師魂にすっかり火がついてきました。この感じは、授業と同じですね。

質問や感想のメールもどんどん送ってくださいね。

皆さんの顔が見えてくればくるほど、講義にも力が入ります。

僕は、物理Web講座で、血の通ったコミュニケーションをしていきたいと思っています。

受講者の皆さんの顔を思い浮かべながら、気合を入れてキーボードを叩きます!
皆さんが、それを受け止めてくれるとうれしいです。

物理Web講座にいただいたコメントの一部を紹介しますね。



将尉さん
>先生の授業の熱気とwebへの考えにとても共感し、受験で頻出の力学を無料にしてくださるという心意気に感動しました。

田原:だんだん皆さんの顔が見えてきて、熱気が出てきましたね。

さっちむさん
>講座楽しみです!アリアリ君とガリガリ君の話がおもしろかったです!

田原:メルマガへの感想は、とてもうれしいです。また送ってくださーい。

muk69さん
>この歳で物理を理解できるのか甚だ疑問ですが、とにかくがんばってみます。

田原:muk69さんよりも年長のみなさんから多数、申し込みいただいております。
(最年長は70歳の方です。)年齢と関係なく物理の楽しさを共有したいです。


4月25日に、第0講 「実況講義」を配信します。まだ、登録していない人は、ぜひ、申し込んでくださいね。
こちらです→ http://rikasougou.com/muryo.html

※PCからのお申し込みになります。

それでは、第7号のスタートです!

■力とは「物体の運動を等速直線運動からそれさせるもの」


第6号では、アリアリ君とガリガリ君の話をしました。

こちらです

そこでのポイントは、物理が対象にしているのは、「感覚で捉えた世界」ではなく、その背後にある「理想化した世界」だということでした。

そして、その理想化した滑らかな水平面上の運動を思い浮かべて、「力のはたらいていない物体の運動が、等速直線運動である。」

ことを、見抜いたのでしたね。

これが、慣性の法則です。

慣性の法則は、「力の本質」を、半分表しています。

力が働いていない物体の運動は、等速直線運動なのだから、力が働くと、物体の運動はどうなりますか?

等速直線運動からそれますね。

では、力とは何か?

力とは、「物体の運動を、等速直線運動からそれさせるもの」です。

では、どのようにそれさせていくのか?
それは、慣性の法則には表されていません。

だから、半分なのです。

どのようにそれさせていくのかを表す規則が運動方程式です。

今日のたとえ話は、運動方程式についてです。

では、たとえ話モードへ突入!

★「理想的水平面でのカーリング」

物理の授業で「限りなく滑らかな水平面」について習ったので、A君とB君は、その理想的な水平面でできたリンクの上で、カーリングをすることにしました。

交互にストーンを滑らせて、円の中に静止させることができたら得点になります。

ところが、理想的な水平面には摩擦力が働かないので、ストーンは等速直線運動をしてしまい、絶対に静止しません。

そこで、ゲームのルールを変えることにしました。

新しいルールは次のようなものです。

まず、リンクの右端から一人がストーンを滑らせます。

もう一人がリンクの中央付近で力を加えて、速度の大きさを変化させます。

ストーンがリンクの左端に到達するまでにかかった時間が10秒間に近いほど、中央で力を加えた人の得点が高くなります。

得点が高いほうが勝ちです。

2種類の異なる質量のストーンを用意して、ゲームを始めました。
1つのストーンは5kg、もうひとつは1トンあります。これらのストーンは、
外見はまったく同じで、見ただけでは区別がつきません。

まずは、A君が投げる番です。

A君は、5kgのストーンを選び、ゆっくりと滑らせました。

B君は、リンクの中央でじりじりしながら、ストーンがやってくるのを待っています。

6秒後に中央付近に到達しました。

B君は、残り4秒で到達できるように、強い力を1秒間加えました。

ストーンは加速され、A君が投げてから9秒後にリンクの左端に到着しました。
力の大きさや、加えた時間の長さが少し大きすぎたのです。

次はB君が投げる番です。

B君は1トンのストーンを選びました。A君は5kgのストーンだと思っています。

B君は、このストーンに先ほどA君が投げたのと同じ速度を与え、滑らせました。

A君は、「B君はすこし強すぎたんだよなぁ」と言いながら、B君よりも、少し弱い力を1秒間加えました。

ところが、ストーンはA君の力の影響をほとんど受けず、ほぼ、等速直線運動をして、11.99秒後に、リンクの左端につきました。

10秒に近かったB君が勝ちました。

2人は、1トンのストーンを片付けながら、今回のゲームについて話しました。

B:「今回のゲームで、力と質量が速度変化に与える影響が、イメージできるようになったね。」
A:「そうだね。力を強く加えるほど、速度が大きく変化するんだよね。」
B:「あと、質量が大きいほど、速度が変化しにくいんだよね。」
A:「そうだよ。1トンのストーンに力を加えても、速度がぜんぜん変わらないから、おどろいたもの。」
B:「でも、あのとき、あのまま力を加え続けたらよかったんだよ。」
A:「2秒間、力を加えたら速度は2倍変化したって言いたいんだね」
B:「ただ、それでも、僕の勝ちには変わらないんだけどね。」
A:「じゃあ、言うなよ。」

★たとえ話終了

このメルマガで、初めて数式を使ってみます。難しくないから、がんばってついてきてくださいね。

ここで、運動方程式のイメージがつかめたら、一生ものの財産ですよ。

ゆっくりとした速度vで滑ってきたストーンに力Fを、Δt秒間加えたら、速度が増加して、Vになったとしましょう。ストーンの質量は、Mとします。

図は、こんな感じです。

→ v   ―→ V
○→F  ○→F
時刻 0   時刻 Δt

等速直線運動からのそれの度合いである速度変化をΔVとしますね。

その速度変化が、FやMやΔtとどのような関係にあるか考えてみましょう。

力Fが大きいほど、速度は大きく変化するので、ΔVはFに比例します。
時間Δtが大きいほど、速度は大きく変化するので、ΔVはΔtに比例します。
質量Mが大きいほど、速度の変化は小さくなるので、ΔVはMに反比例します。

よって、このようになります。

ΔV=V−v=(F Δt)/M

両辺にMをかけて、両辺をΔtで割ると、

M(ΔV/Δt)=F

ここで、ΔV/Δtは、単位時間あたりの速度の変化=加速度 という量です。
これを、aとおくと、

  Ma=F

という式になります。これが、力学の原理である運動方程式です。

これまで、何度も登場してきたものですね。

すべての力学現象は、この式だけから説明していきます。
強調してもしきれないほど大切な式ですね。

この式が、「先割れスプーン」です!
 創刊号参照
全ての力学の問題をこの式から解くんです!
  第3号参照


次に、この式の読み方を教えますね。

まず、右辺の力Fを手で隠します。

 Ma=(手)

Fは見えなくなりましたね。このまま、しゃべりつづけます。

「力が働かないときは、速度の変化率である加速度aはゼロ。つまり、 物体は、等速直線運動する。」

はい、慣性の法則が見えました。

次に、手を離します。

  Ma=F

そして、こう言います。

「力Fが加わると、物体の運動は等速直線運動からそれて、変化する。 質量Mは、速度の変化のしにくさ。重さじゃないよ。」

これが、運動方程式のイメージです。間違っても、「Maという力がある。」なんて、読まないでくださいね。


■編集後記


今回は、禁断の数式を使ってしまいました。

「数式を使わずに、たとえ話で物理を‥‥」というメルマガで、数式を使うのはタブーのような気がしますが、その禁を破ってでも、運動方程式のイメージをど うしても伝えたかったんです。

というわけで、お許しを。

当分、数式を使うつもりはありませんので、数式が苦手な人はご安心を。


第7号を読んだ感想もお待ちしています。


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