《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方
10号
このメールマガジンはPC版「楽しい《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方」を携帯でも読めるようにしたものです。長文ですので画面メモをして読むこ
とをお勧めします。
こんにちは、予備校講師の田原です。
2月にメルマガを創刊し、4月に物理Web講座をスタートしてから、いろいろな
ものが大きく変化し始めました。
ネットの威力はすごいですね。
★物理Web講座への申し込みも、もう少しで400人突破です。(感謝です)
たとえ話で物理に対するイメージが固まったら、ぜひ、本当の物理に
チャレンジしてみてください。
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みんなで、物理の楽しさを共有したいですね。
それでは、第10号のスタートです!
■式は1次元、図は2次元
僕は物理の問題を解くときに図を頻繁に用います。
自分では意識していなかったのですが、生徒のアンケートを見ると、
「図を使った解法が、分かりやすかった。」
というものをよく目にするので、自分の解法の特徴の一つなんだなーと、逆に
再認識させられました。
Web講座の「第1講 運動の表し方」のところでも、式を使ってガリガリ計算する
のではなく、「v−tグラフ」を使って規則性を発見して解く方法を書いている
ので、確かに、図を多用しているようです。
でも、僕からすれば、当たり前なんです。
無限の自然を、貧弱な脳で理解するためには、無限→有限の情報圧縮をしなくて
はなりません。
これは、今まで、何度か書いてきたことですね。
そして、情報圧縮のために何をするのかというと、
「規則を見抜く」
のです。
僕は、物理の問題を解くときに、その背後に隠れている規則性をどのように
したらあぶり出せるのかということを常に考えています。
現象に隠された規則性を無視して、強引に解いてしまったときには、深く
反省します。
そして、たいてい、そのようなときには、手間ばかりかかる煩雑な解答が
出来上がります。
逆に、規則性を見抜いたときには、現象の隅々まで明快になり、さわやかな気分で
解答を書くことができます。
快感!です。
自然界は理解可能なのではないか!という錯覚?に陥りそうになります!
快感をより感じられる方向へ解法が洗練されていった結果、図を使う機会
が増えていったのです。
なぜなら、図は、
「規則性を見抜くために役立つ道具」
だからです。
今回のテーマは、式と図の違いについてです。
では、たとえ話モードへ突入!
★巨大迷路を抜けろ!★
1980年代、空前の「迷路ブーム」が起こり、日本のあちこちに、
「巨大迷路」が建設されていました。
テレビドラマ「男女7人夏物語」の中でも、巨大迷路に入るシーン
があったのを覚えています。
その迷路のうちの一つが、今回のたとえ話の舞台「ブラックホール」
です。一度入ったら抜けられないことから、この名前がつきました。
入り口には、
「世界最大級の迷路! 1時間で抜けられたら1万円差し上げます」
と書いてあります。
よく見ると下にもう一つの文章が書いてあります。
「ブラックホールはでたらめに作った迷路ではありません。
迷路を製作した人のメッセージが込められています。」
どうやら、やみくもに歩き回っても1時間ではたどり着けないように
なっているらしく、できるだけ早くメッセージを見抜いて進むことが
要求されているようです。
この迷路の入り口に、2人の挑戦者がやってきました。
2人の名前は、志木さんと、グラフさん(ドイツ人)です。
2人ともブラックホールを抜けた最初の人になろうとやる気満々です。
まず、志木さんが迷路に入り、10分後にグラフさんが入りました。
志木さんは、紙に「↑→↑←・・」と進んだ道を直線状に書いていきました。
20分間歩き回ったあとで、これまでに書いた迷路データを見てみました。
100個以上の矢印がズラーと並んでいます。
志木さんは、そこに、等差数列や
等比数列、階差数列など、何か規則性が現れないか一生懸命考えましたが、
何も見つけることができませんでした。
志木さんは、すっかり嫌になってギブアップボタンを押しました。
一方、グラフさんは、進んだ道を図に表していきました。
20分ほど歩いてから行き止まりになっている道と、そうでない道を色分けする
と、ある模様が現れてきました。
その模様は、北海道の地図の一部(函館付近)に似ていました。
グラフさんは「もしや?」と思い、北海道の形の輪郭をたどるように迷路を
進んでいきました。
すると、ちょうど輪郭を描き終わるあたりで出口に出ました。
タイムは55分でした。
グラフさんはブラックホールを抜けた第1号になりました。
実は、この迷路は、北海道出身の経営者が、故郷を懐かしんで作ったもの
だったのです。ブラックホールというのは後からつけられた名前でした。
全く予想していない規則性だったので、誰も気づかなかったのです。
でも、グラフさんは、日本へくる前に、机の前に日本地図を貼って、日本語
の勉強をしていたので、すぐに「北海道」だと気がつきました。
グラフさんの写真は、今でも、「ブラックホール」に飾ってあります。
★たとえ話終了★
数式にくらべて、グラフや図は、たて・横・斜めなど縦横無尽に規則性を
見つけることができます。
数式は、図の1部分を取り出したものに過ぎません。
値を計算するためには役立ちますが、規則性を発見するための道具としては、
グラフや図にはかないません。
ですから、「規則性を発見したい!」と思えば、自然とグラフや図を書く作業
が増えるのです。
現象をうまくとらえることができる図やグラフを描けるようになると、物理
に対する印象が変わってきますよ。
■サイト紹介
前回、編集後期で少し触れたのですが、最近、
「パズルと迷路で最強の塾を作る!」というブログにはまっています。
このブログのおかげで、「迷路」というものが「遊び」になることを、思い出し
ました。
そういえば、20年ほど前に巨大迷路ブームがあったなーと思ったのが、
たとえ話になってしまいました。
迷路って迷うからこそ楽しいんですよね。
受験生に物理を教えていると、ついつい、効率のよい学習方法というものにばかり
注意が向いてしまって、迷うことは無駄なことのように思ってしまいます。
でも、迷うことは楽しいことだったんですね。
大切なことを忘れていました。
物理の問題も迷路も、それを作った人は、その中にある種の仕掛けを入れて
います。
そして、「気がつくかなー!」という顔をしながら、解いている人を見守って
いるのです。
解く人は、作成者の顔を横目に見ながら、「見破ってやる!」と意気込むわけ
です。
「じゃあ!答を言います!」
「もう少し待って!」(もっと迷う楽しさを味あわせて!)
このように考えると、やっぱり、迷うことは楽しいことなんですね。
自分の頭で能動的に考えるからこそ、迷うのです。
でも中には、迷おうとせずに、思考を静止させ、答を言われるのを待っている
生徒もいます。
その生徒には、「まず、迷ってみる」ことから始めるのが必要かもしれません。
僕は、授業中に練習問題を黒板に書いて、生徒にそれを解いてもらうのですが、
生徒に与える時間が、最近、長くなっています。
練習問題を作成した僕は、その中に仕掛けを入れています。
「あることに気がつけば、2分で解けるよ。はじめ!」と言ったりするわけです。
その問題に対して、あれこれ考えるのは、楽しいことなんだと気がついたので、
できるだけ長く楽しませてあげたいなと思いました。
そのため、講義の進度が遅れています (^^;
僕に迷うことの大切さを思い出させてくれたブログはこちらです。
(携帯からもみれますよ)
→ http://blog.livedoor.jp/ringo_juku/
■編集後記
たとえ話の中で、迷路に入った人は、迷路を作った経営者の意図を見抜こうと
していました。
グラフさんは、迷路の一部をマッピングした図から、「北海道」という予想
を立てて、その後の迷路を突き進みました。
そして、ゴールした後に、経営者が北海道出身だったことなどを知り、
全てのなぞが解けました。
宇宙という迷路の中に住んでいる僕たちは、迷路の一部をマッピングした図
から、物理学という予想を立て、まだ到達していない宇宙のかなたに対して
思いをはせています。
でも、僕たちが見抜こうとしているのは誰の意図なんでしょうか?
西欧的世界観では、この宇宙を作ったのは「創造主=神」です。
物理には、「創造主=神」の意図を見抜くという目的があります。
「神はサイコロを振らない」などというときの「神」は、宇宙という迷路を
作った創造主のことですよね。
1次元よりも2次元、2次元よりも3次元と、高次元の図形を考えていくと、
隠れた規則性が現れてきます。
この宇宙全体の規則性を表す試みである「超弦理論」が、「われわれの
宇宙は10次元または11次元であるようだ」などというのは、そこまで次元を
膨らませて図形を書くと、規則性が発見できるということです。
「規則性の発見」と「次元」の関係に思いをはせながら、目の前の問題の
規則性を発見するために、2次元の図であるv−tグラフを書きましょうね。
今回は、編集後記まで、内容がはみ出してしまいました (^^;
それでは、次号をお楽しみに。
第10号を読んだ感想をお待ちしています。
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